ROUTE06 CTOが考えていること(2023年9月)

おはようございますこんにちはこんばんは。ROUTE06 取締役 CTO の重岡です。

前回の記事から 4 か月が経過しました。その期間の振り返りと、現在考えていることについてご紹介します。

プロダクト開発の現在地

エンタープライズ向け SaaS「Plain EDI」の開発

まだまだ課題は多いものの、「Plain」という大きなプラットフォームの構想の初手として、足元ではクラウドEDIを中心とした商取引DXを注力領域に定め、エンタープライズ特化のVertical SaaSを提供しながらその価値を最大限活かすための要件定義/デザイン/データ分析などの事業支援を行うアプローチへの実効性も高まりつつある。

引用元: 「新しい大企業」を目指して | Takafumi Endo, ROUTE06 | Medium

上記の引用にもあるように、Plain EDI の開発に注力しています。Plain EDI の短中期の開発計画は以下の通りです。

  • EDI の特定のドメイン(契約形態)に関する機能の開発中
  • EDI の共通機能の拡充
  • エンタープライズ向け SaaS の導入時のオンボーディング改善に関する開発

技術選定に関しては、以前に記事を執筆していただきました。Plain EDI フロントエンドの技術選定に関する詳細は以下の記事を参照してください。

今後も課題に応じて最適な技術を選定していく予定です。

カスタマイズ可能な SaaS

既存の SaaS が完全にフィットしない場面で、フルスクラッチの開発や既存 SaaS に業務フローを合わせる二択に加えて、第三の選択肢としてカスタマイズ可能な SaaS を提案します。Plain ではこのようなテーラーメイドのカスタマイズ可能な SaaS を開発しています。

エンタープライズのニーズは複雑で、導入先特有の要求がある上、求められる水準も高いため、多くのエンタープライズの要求がまだデジタル化されていません。この課題を解決することが ROUTE06 の主要な取り組みの一つです。

「カスタマイズ可能なシステムをどのように上手く扱うか?」という点は、スケーラビリティの観点から中長期的に重要なイシューとなります。

Plain Orchestration の開発がスタート

Plain の Vision に従い、新たなプロダクト開発に取り組むことができました。

オーケストレーション / Orchestration

クラウドサーバー上に構築された基盤データベースから、様々な外部SaaSや社内システムへのAPIその他データ連携機能を活用することで、デジタルサービスの運用及び関連業務の遂行に必要なシステムインフラからユーザーインターフェースまで、ワンストップで構築することができます。複雑かつ個別性の高いビジネス要件にも対応可能であり、事業フェーズやサービス規模に合わせて柔軟にシステム構成を組み替えることができます。

引用元: プラットフォームサービス - 株式会社ROUTE06 (ルートシックス)

ROUTE06 のプロフェッショナルサービスは、自社プロダクト「Plain」だけでなく、お客様の事業成功をサポートするオペレーション全体をカバーしています。これを実現するためには、外部 SaaS や社内システムとの連携が不可欠です。

すべてを「Plain EDI」だけで完結させるのではなく、他社の SaaS や導入先の社内システムと連携し、最適なオペレーションを実現したいと考えています。

この Vision を具現化するためのプロダクト「Plain Orchestration」は、初期の技術選定を終え、ADR の執筆を完了しました。以下の技術を採用して、開発を進めています。

プロダクトセキュリティチームの立ち上げ

ROUTE06 では、これまで第三者検査機関の支援を受けつつ、最善を尽くしてセキュリティへの取り組みを進めてきました。更にこの取り組みを強化するため、プロダクトセキュリティ専門のチームを新たに立ち上げました。今後、プロダクト開発のセキュリティ水準を更に高める予定です。

セキュリティに関連する取り組みとして、以下の記事を既に公開しています。

現在、フルタイムのプロダクトセキュリティエンジニアは在籍していないため、引き続き採用にも注力していきます。

データイネーブリングチームの立ち上げ

ROUTE06 では、「Plain Data Platform」と「プロフェッショナルサービス」を通じて、データサービスの強化を進めています。データアナリストのチームが整い、加えてデータエンジニアがプロダクト横断的にデータエンジニアリングを支援するデータイネーブリングチームを新しく組成しました。

現在、ROUTE06 には以下の 3 つのデータ関連チームがあり、これらを通じてお客様にデータの価値を提供しています。

  • データサービス
  • データイネーブリング
  • データプラットフォーム

引き続き、Data Engineer の募集も行っています。

顧客の事業成長に伴うプロダクト開発

詳細については今後公開されるプレスリリースにてお知らせする予定ですが、私たちがサポートしているお客様の事業が成長する中、プロダクト開発もその波に乗り、成長を続けています。

プロダクトの立ち上げから事業の拡大期にかけて、技術的負債の返済を進めながら、日々の改善や新機能の開発を実施しています。現在、複数のロードマップが同時に進行中のチームも存在しています。

例として、以下のように5つのロードマップが同時に推進されることもあります。デリバリーマネジメントに関する知見も増えてきたため、これについては今後、本 Tech Blog で詳しく紹介する予定です。

  • サービスのリニューアル
  • 事業拡大に合わせた新機能のリリース
  • モバイルアプリの新機能開発
  • アーキテクチャの最適化
  • ライブラリやフレームワークのバージョンアップ

ROUTE06 エンジニアリング組織の取り組み

イベントスポンサードや登壇活動

RubyKaigi/KeebKaigi 2023 への協賛&参加や、開発生産性 Conferenceへのスポンサード、ブース出展、また登壇も行いました。登壇の際の動画がYouTube にアップロードされており、これについて面接の際に質問されることもあり、大変有意義だったと感じています。

今月以降に予定されているスポンサーシップについても簡単にご紹介します。

昨年に続き、ROUTE06 は iOSDC Japan 2023 のスポンサーとして協賛しています

iOSDC Japan 2023

私がエンジニアとしてキャリアを積んできた中で非常にお世話になった「WEB+DB PRESS」が休刊となりましたが、ROUTE06 として企業スポンサーに参加できたことは大変嬉しく思います。

WEB+DB PRESS創刊22.9周年パーティ(副題 うまい肉とIPA)

また、社員が主催するイベントへのスポンサーシップという取り組みも始まり、その活動の幅が広がっていると感じています。

~ 秋のエンジニア大交流会 & LT会!!~

年末にはKaigi on Rails 2023へのスポンサーシップも控えています。

これらのイベントスポンサーシップや登壇活動を通じて、エンジニアの方々に ROUTE06 の存在や活動をより知ってもらいたいと考えています。

Tech Blog の運営

今年の 3 月に開設した ROUTE06 Tech Blog (tech.route06.co.jpZenn Publication) への記事の執筆が継続的に行われています。

特定のノルマや期限を設けていないにも関わらず、毎月安定して記事が公開されているのは、非常にありがたいことです。一部の方々にはカンファレンス参加や業務としての依頼を元に、事前に承諾を得て記事を執筆していただいていますが、多くの方々は自発的に投稿してくださいました。

現在、記事がコンスタントに執筆されるようになったため、次の目標はこれまで社外に公開していなかった内容の公開を目指しています。

エンジニアリング組織の現在地

現在、エンジニアは約 30 名に増えています。創業から 4 年目ということを考えると、エンジニアの退職者が 0 名であることは嬉しい事実です。今年に入ってからはリファラル採用が増加しており、これは社内のエンジニアが ROUTE06 を評価していただいており、知人友人らに紹介しているからだと感じています。前回の記事からのリファラル採用の状況は以下の通りです。

入社月 採用数(リファラル) 採用数(合計) リファラル率
5 1 1 100%
6 0 1 0%
7 1 3 33%
8 1 1 100%
9 1 3 33%
集計 4 9 44%

2024 年末を目標に、全社での従業員数を 100 名、エンジニアを約 50 名とする倍の規模を目指しています。

先日、社内で開催した決起集会で共有した私の考えの中から、以下の点を引用したいと思います。

チーム開発

属⼈性を持って推進しつつ SPOF となる⼈を徐々に減らしていきたい。 チームの誰もがいつでも休める状態へ。

オーナーシップ

プロダクト、コードのオーナーシップを持ち続けていただきたい。 そのために、少数チームを作り続けます。

迷ったらこだわる

稼働リソース、期限など様々な制約下でプロダクト開発していただいてます。 その制約下で、できる限りプロダクト開発にこだわりを持ってほしい。

これらの考えを持続してもらえるように、エンジニアリング組織を常に良好な状態に保ちたいと考えています。

技術顧問 hiroppy さん

hiroppy さん を技術顧問としてお迎えすることができました。Plain のフロントエンド技術選定のレビューや、今後のアーキテクチャに関する議論を hiroppy さんにもご協力いただき進めていく予定です。

今後の展望

あと 1 ヶ月で 3Q(7-9 月)が終わり、4Q (10-12 月)がスタートします。4Q では多くの業務が待ち受けていますが、私の視点は既に 2024 年に向けられています。もちろん、現在も業務執行に従事していますが、この時期から次年度の計画を練り始められることは、健全な状態であると感じています。

目の前のイシューを速やかに解決することも大切ですが、委譲できてきたことにより、将来を見据える余裕が生まれた今、経営としての役割を果たさなければなりません。

経営という、高度に抽象的な問題に向き合うのは難しさがあります。抽象度の高いイシューを取り組んでもらえるように定義するのは、一段と難易度が高いと身をもって感じています。

OSS への会社としてのコントリビューション

今年 2 月に issue や discussion を作成したものの、私が主導して進めることができずに停滞してしまっています。他社の取り組みを参考にして、ROUTE06 として OSS への貢献を少しずつ始めていきたいと考えています。

QA チームの立ち上げ

現在、QA チームはまだ設立されていません。品質保証の面では、継続的なエンジニアリングは組織横断的には行われておらず、第三者検査機関に時折依頼する一方、各プロダクトチームがそれぞれの品質を保証しています。組織横断な QA エンジニアリングとしての品質を継続して保証するために、QA チームの設立を考えています。

InnerSource チームと CDR

取締役の小西さんは、「CDR(Corporate Decision Record)」制度とその仕組み作りを中心とした取り組みを推進するため、InnerSource チームを立ち上げました。

足元で最も注力したいと考えているのは「CDR(Corporate Decision Record)」制度とその仕組み作りです。機能的には稟議の位置付けですが、独自の特別なシステムを構築していきたいと思っています。

引用元: 「新しい大企業」を目指して | Takafumi Endo, ROUTE06 | Medium

組織づくりに興味を持つソフトウェアエンジニアには、この取り組みが魅力的な機会となると考えています。現在、社内で興味を持っているソフトウェアエンジニアが兼任の形で参加しており、取り組みはまだ初期段階です。小西さんは、Qiitaの創業取締役でしたので、彼と一緒にプロダクトを開発するチャンスは非常に貴重です。

おわりに

次回、本シリーズの記事を書くのは年末年始の予定です。

2023 年を良い状態で終えられて、2024 年に取り組むイシューの解像度が上がった状態で新年を迎えられることを目指して、引き続き取り組んでいきます。

以上、熊本からお送りしました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!