ROUTE06エンジニア対談 - デザインエンジニア黒田が目指す「デザインとエンジニアリングをつなぎ、最速で価値を出せる」存在

こんにちは。ROUTE06 Tech Blogの編集チームです。
ROUTE06のエンジニア対談を連載でお届けします。

第4回は、CTOの重岡 正さんとデザインエンジニアの黒田 健太さんです。

黒田さんは、2021年にROUTE06へ入社。デザイン領域も担当できるソフトウェアエンジニアとして、Plainの立ち上げやコーポレートサイトのリニューアルなど、フロントエンドの開発に関わってきました。

以前から、「デザインと開発をつなぎ、最速で価値を出せる人になりたい」と考えていた黒田さん。2023年7月からは、デザインエンジニアとなり、UI/UX設計、デザイン業務などを担当しています。

黒田さんに、デザインエンジニアになりたいと考えたきっかけや、これまでのキャリアについて聞きました。

プロフィール

黒田 健太 KURODA Kenta

1996年生まれ。大学では情報科学を専攻。
学生時代は、大学生協のシステム開発のアルバイトのほか、複数企業の開発インターンを経験する。

2019年、クックパッド株式会社に新卒入社。サービス開発エンジニアとして、レシピサービスのユーザー体験向上に従事。

2021年6月にROUTE06入社。PlainやCHOOSEBASE SHIBUYA、三菱商事株式会社とのプロジェクトなどの立ち上げで、プロダクト開発全般を担当。コーポレートサイトのリニューアルにも関わる。

2023年7月より、デザインエンジニアに。Plainのほか、ROUTE06が支援するデジタルプロダクトのUI/UXの設計、デザイン業務を担当。

 

ROUTE06エンジニア対談 - デザインエンジニア黒田が目指す「デザインとエンジニアリングをつなぎ、最速で価値を出せる」存在

最速で価値を出すためのデザインエンジニアという選択

重岡
今回の対談相手は、デザインエンジニアの黒田さんです。まずは、自己紹介と現在の担当業務を教えてください。

黒田
私は、2021年にROUTE06に入社し、ソフトウェアエンジニアとしてPlainやCHOOSEBASE SHIBUYA、三菱商事さまとのプロジェクトなどの立ち上げに関わってきました。また、ROUTE06のコーポレートサイトのリニューアルも担当しました。

2023年の4月から6月は、Plainのフロントエンドエンジニアとデザイナーを兼務し、7月からデザインエンジニアになりました。現在は、Plain含めて2つのプロジェクトに関わり、UI/UXまわりの設計やデザイン業務をしています。

重岡
黒田さんは、前職のクックパッドではサービス開発エンジニアとして活躍してきました。黒田さんがデザインエンジニアを目指そうと考えたのは、どんなきっかけがあったのでしょうか。

黒田
プログラミングを始めたのは大学生のときで、さまざまな企業で開発インターンをしていたんです。

そのままソフトウェアの開発職を仕事にしようと就職活動をしていたところ、デザインエンジニアの存在を知り、「これだ」と思いました。

実は開発インターンをしているとき、「アジャイル開発とはいうけれど、実質ウォーターフォールだよね」と感じることが多かったんです。

PMが仕様を作って、デザイナーがデザインをして、エンジニアが実装する。アジャイル開発はスピーディに開発と改善を繰り返していくことが大切なのに、実現は難しいなと思っていました。

重岡
なるほど。アジャイルで開発を進めていたつもりが、ウォーターフォールのようになってしまうケースはよく聞きますよね。

黒田
デザインエンジニアの仕事は、プロダクトのUXに責任を持ち、デザイナーとソフトウェアエンジニアの境界線上にあるような仕事を円滑に整えること。両者のコミュニケーションの橋渡しをするような立ち位置にあると考えています。

なので、デザイナーとエンジニアの両方ができたら、アジャイルに近づけるし、最速で価値を出すことができる!と思い、デザインエンジニアのキャリアを目指してきました。

重岡
ソフトウェア開発において、デザインとエンジニアリングのつながりは、これまで以上に重要視されています。

以前は、開発寄りのデザイナーや、デザイン知識も持ったフロントエンジニアが片手間で対応しているケースが多かったように思います。私も、自分でスタイルシートやCSSでマークアップすることがありました。

しかし、しだいにユーザー体験で実現できることがリッチになるにつれて、フロントエンド開発も複雑になってきた。求められる専門性も高くなるので、あらためてデザインエンジニアという存在が必要なのだと思います。

黒田
ソフトウェアエンジニアが、フロントエンドとバックエンドに分かれたように、フロントエンドがまた、フロントエンド寄りとデザイン寄りに細分化したイメージがありますね。

その細分化した狭間に落ちやすいボールがあって、落ちたボールを拾うことにデザインエンジニアの価値があるんじゃないかと考えています。

新卒でクックパッドに入社。エンジニアとしての基礎を学ぶ

重岡
では、これまでの黒田さんのキャリアも教えてください。

黒田
就職活動でデザインエンジニアの存在を知ったきっかけが、クックパッドのUXエンジニアという職種からだったんです。それを目指し、新卒でエンジニアとしてクックパッドへ入社しました。

入社後は、「学生時代までに経験したことがない領域の仕事に関わろう」という方針のもと、まずはインフラまわりに関わりました。SQLを叩いてデータ分析をする、データサイエンティストのような仕事もしましたね。

デンマークにあるデザインスクール、Copenhagen Institute of Interaction Design(CIID)のサマースクールにも参加しています。

重岡
入社1年目で、幅広い経験ができる環境だったんですね。

黒田
はい。データ分析に関わったのは、「デザインとエンジニアリング両方やりたいです」と希望していた背景があります。上司からも「UXエンジニアになりたいなら、データ分析のスキルを持っていたほうがいいよ」とアドバイスを受けたこともあって。

重岡
たしかに。UI/UXの改善では、データ分析が重要ですよね。組織が大きいからこそ、さまざまな領域を学べるメリットを感じます。

黒田
その後は、クックパッドのプレミアムサービスの担当となり、有料会員を増やすキャンペーンの実装や検証に関わりました。

ユーザー体験の向上とビジネス面の両方を考えながらの開発は、難しかったですね。でも、設計したユーザー体験を実現できたときは、とても嬉しかったです。

重岡
黒田さんは、学生時代のアルバイトやインターンでの開発歴がありますし、ROUTE06に入社したときもエンジニアとして独り立ちしているなと思いました。やはり、クックパッドで濃い時間を過ごしたのかなと。

黒田
環境が良かったと思います。同期のエンジニアが10名くらいいたんですが、学生時代にクックパッドでインターンをしていたという人が多くて。

仕事ができる人たちばかりで焦りもありましたが、まわりからエンジニアとしてのコミュニケーション術や仕事のやり方を学びました。

「理想とするデザインエンジニアになれているだろうか?」という自問自答

重岡
クックパッド時代に、印象に残っているできごとを聞きたいです。

黒田
SEOを目的とした、リアーキテクチャのプロジェクトに参加したことは、大きな経験になりました。

SEOには、検索体験が良いと、ユーザーがサイトに滞在する時間が長くなり、検索順位に良い影響が現れるという考え方があるんです。

検索からのユーザー体験の改善を考えながら、デザイナーとコミュニケーションを取り、フロントエンド側で新しい技術を取り入れてみるという、おもしろい仕事ができました。

重岡
希望していた、デザインとエンジニアリングをつなぐ仕事ができたんですね。

黒田
はい。一方で、組織が大きいぶん、サービス運営や開発の分業化が進んでいたことは悩みでした。

成熟したサービスだから判断に関わる人も多いし、UI/UXが大きく変わるような開発に関わるきっかけも限られていました。

重岡
ユーザーも多いので、大胆な変更は難しいだろうなと思います。

黒田
そうですね。ただ、しだいに「デザインエンジニアとして上手に動けているのか、正直わからない」という気持ちも出てきたんです。

デザインエンジニアを目指したきっかけは、「最速で価値を出したい」だったのに、できているんだろうかと、自問自答していました。

そのうちに、「デザインとエンジニアリングのすき間は、ゼロイチでつくる新規プロダクト開発の現場に多くあるんじゃないか?」という仮説が浮かんできたんです。

スタートアップなど複数の企業から話を聞くなかで、ROUTE06にも出会い、「自分の目指すデザインエンジニア像にフィットしそうだ」と感じて転職しました。

BtoBプロダクトは、ユーザーとの距離が近い

重岡
黒田さんが入社した頃は、まだ社内にデザインエンジニアのロールがなかったんですよね。

そのため、黒田さんには将来的にデザインエンジニアを目指していただきつつ、デザイン業務も一部含むソフトウェアエンジニアとして、開発に関わっていただきました。

入社して2年が経ちますが、ROUTE06での開発はいかがですか。

黒田
自分にとって、BtoBプロダクトの立ち上げに関わることは初めてでした。ROUTE06のプロダクト開発は、BtoB/BtoCのどちらもありますが、今はBtoBを担当することが多いですね。

グロースフェーズで改善を繰り返していくような、イメージしていたリリースサイクルとは違っていたなと思う反面、実際にプロダクトを使っているクライアントの困りごとを聞いて、改善につなげられるところは新鮮でした。

「自分が改善したことが、使う人の体験向上につながっている」と感じながら、仕事ができています。

重岡
BtoCプロダクトに関わるおもしろさに、「ユーザーの声を反映できる」があります。とくにスタートアップでは、「ユーザーの声を聞いて、どんどん改善して、昨日と今日で違うデザインになっている」ような変化も多いです。

でも、実はBtoBプロダクトも同じで、考えようによっては、よりユーザーに近いところで開発できると思うんです。

BtoCの場合、改善点を見つけるうえでも、複数人を相手にユーザーインタビューをしたり、データを見たりして、仮説を立てるところから始める必要があります。

BtoBでは、顧客企業の社員の方々が、実際にプロダクトを使っているユーザーです。皆さんから直接フィードバックをいただいて改善ができる点は、おもしろいんじゃないかなと思いますね。

黒田
また、ソフトウェアエンジニアとして担当する領域が広がりました。クックパッドのときは、基盤を管理するチーム、サービスを開発するチームのように、役割が分かれていたんです。

私が入社したときのROUTE06は、基盤も含めて全部やることが前提。「自分がやらなきゃサービスが止まってしまう」というようなプレッシャーも感じつつ、できることが増えました。

ソフトウェアからリアルなプロダクトまで幅広いデザインに関わるおもしろさ

黒田
現在、ROUTE06には私を含めてデザインエンジニアが2名います。重岡さんは、これからデザインエンジニアの組織をどのようにしていきたいと考えていますか。

重岡
そろそろ、本格的なデザインエンジニアの組織が必要だと考えています。とくにPlainに関しては、デザインエンジニアの体制やジョブディスクリプションの定義を考えているところです。

黒田さんは、ROUTE06でエンジニアとデザイナーの両方を経験していますよね。それぞれのやりがいや、おもしろさを教えてください。

黒田
ROUTE06では、プロダクトやサービスのコンセプト設計からデザイナーがアサインされます。プロダクトマネージャーと一緒に柔らかい状態から固めていくことが多く、そこがおもしろさだと思っています。

エンジニアとして関わる場合でも、自然に「このプロダクトを作る意義は何だろう」と考える機会が多いと感じます。

また、作るデザインの対象がとても広いこともおもしろいです。ソフトウェアからアプリ、物理的なプロダクトまで、さまざまなサービスや物のデザインに関われるし、BtoCとBtoBのドメインも行ったり来たりできます。

デザインのスキルセットを短期間でぎゅっと得られるところは、ROUTE06でデザインを仕事にできる魅力ですね。

重岡
新入社員向けにプレゼントする「The Day One Box」やイベント時のグッズなど、リアルなプロダクトのデザインにも関われますよね。

デジタルプロダクト以外のデザインも経験できる環境は、デザイナーのキャリアを考えるうえでもプラスになるんじゃないかなと思います。

UXの設計からデザイン、実装までできるデザインエンジニアになりたい

重岡
では終わりに、黒田さんが今後取り組んでいきたいことを教えてください。

黒田
ソフトウェアエンジニアのときに、Figmaのデザインデータとエンジニアの実装が、うまく同期できていないと感じることがありました。

デザインエンジニアというロールになったので、そのような日々の仕事にあるイシューの解決に注力したいです。

私は、自分の取り組みがエンドユーザーや社会にとって少しでも価値となり、困りごとの改善につながるようにと、意識して仕事をしています。 そして、副次的な効果として一緒に働いてる人にもプラスの影響が生まれたらいいなと思います。

将来的には、プロダクトの体験設計から実装まで、両方のスキルセットを持ち、かつ最速で実現できる人になりたいです。

重岡
私も、黒田さんやほかのデザイナーの皆さんと話をしながら、デザインへの解像度を高め、ROUTE06のデザインエンジニアのあり方を考えていきたいです。今後も、ぜひ協力をお願いします。

 

(編集・執筆:マチコマキ